フリーマーケットで犬用おやつの試食をしていると、「この子、家ではすごく食べるのに、外だと全然…」って聞くことがよくあります。
その場で匂いを嗅いで、ぺろっと舐めてみる子もいれば、見向きもしない子もいて、「いつもの食いつきと違うなあ」って戸惑う飼い主さんもいます。
「あれ?なんで?おやつ好きなのに」って、ちょっと不思議に思う気持ちも、よくわかります。
でも、実はこれ、珍しいことではないんです。

実は、外が落ち着かないのかもしれない
外って、犬にとっては刺激がたくさんある場所なんですよね。
風に運ばれてくる匂い、聞きなれない音、人や犬の動き。
そういう「気になること」がいっぱいで、気持ちが落ち着かない子もるんです。
そんなときにおやつを出されても、「今は食べられる感じじゃないかも…」ってなるのは、ある意味自然なことなんです。
食べるという行動は、犬にとって安心していられる状態じゃないとなかなかしにくいもの。
だから、おやつを食べない=嫌いなわけではなくて、「今の自分の心の状態」をちゃんと表してくれているんです。
実は「外に慣れていない成犬」も多い
ここでひとつ、意外と知られていないことがあります。
実は、成犬でも「外慣れができていない」子って、けっこうたくさんいるんです。
お散歩デビューの頃、多くの飼い主さんが「歩く練習」を頑張ってきたと思います。
でも実は、「外でのんびりする」「ゆっくり過ごしてみる」みたいな練習は、あまりしてこなかった、という子が多いんです。
だから犬は、「外では歩くものなんだな」っていうのは理解していても、「外で落ち着いて過ごす」っていう経験をあまりしていない。経験していないことは、なかなかできないんですよね。
もしかして、こんな様子ありませんか?
- 散歩に出ても、すぐ立ち止まる
- 道端でなかなか動き出さない
- 逆に、ぐいぐいリードを引っ張って落ち着かない感じがする
普段はちゃんと歩けているように見えていても、ただ「歩いているだけ」で、お散歩が気分転換になっていない子も、実はいるかもしれません。
外で食べないことは、悪いことではない
「外でおやつを食べない」こと自体が、なにか問題なわけではありません。
その子なりに今の気持ちを伝えてくれているだけ。
無理に食べさせる必要もないし、「なんで食べないの?」と焦る必要もありません。
今はまだ、落ち着いて食べられる状態じゃないだけ。
ただそれだけなんです。
落ち着けるようになると、おさんぽがもっと楽しくなるかも
無理に変えようとしなくてもいい。
でも、もし少しずつ外に慣れていって、「ここなら安心かも」って思える場所や時間が増えていったら――
犬にとっても、飼い主さんにとっても、もっとお散歩が楽しくなったり、日常がふっとやわらかくなるかもしれません。
そうなったら、なんだかちょっと嬉しいですよね。

まずは、のんびりから
人も犬も、環境に慣れるには時間がかかります。
まずは静かな場所で、一緒にのんびり過ごしてみるところから。
歩かなくてもいいし、食べなくてもいい。
そのうち犬がふっと落ち着いたタイミングがあったら、そっとおやつを出してみてください。
もしそれを受け取ってくれたら、それはとても嬉しい一歩。
そして、たとえその日が「食べない日」だったとしても、「今日も一緒に外の空気を感じられた」ってことが、犬にとっても大切な経験になってるはずです。
最後に
外でおやつを食べられないというのは、その子が「今はまだ落ち着けないんだ」って伝えてくれているサインかもしれません。
その気持ちに気づいて、そっと受けとめて、焦らず、責めず、その子のペースで少しずつ。
そんなふうに向き合っていけたら、犬との時間はきっともっと豊かになるんじゃないかな、と思います。